3年前に地元に戻る形で田舎に引っ越したのをきっかけに、こんなボクでも地元に貢献できないか?との想いから自分にできるのはITくらいしかないので、WEBを有効活用した地域メディアの立ち上げを模索しました。
その中で、もちろん既存の自治体ホームページや地域ポータルなどを色々見てみたのですが、まあ、なんとも言えない残念感がありまして。その後、自分でブログを作ったり地元の人の話を聞いたりした経験も踏まえて、地域メディアの難しさをツラツラと書いてみたいと思います。
初めに言っておきますが「どうしたら成功するか?」という結論はでていません。ただ、ネガティブ要素を並べて絶望しようという事でもなく、あくまでこれらを踏まえて成功の道を模索したいのです。もちろん、論点に稚拙な部分や間違いもあると思いますので、ツッコミ大歓迎します。
※現在、プライバシー保護のためこのブログでは自分の居住地を明かしていません。その辺り考慮して反応いただけるとありがたいです。
いきなり先人の記事から引用させていただきますが、ガ島通信の藤代さんの記事から
ざっと発言を書いてきましたがこれを読むと、パネリストがネット、紙、リアルのイベントなどいろいろなメディアを使った情報発信にトライしているのが分かると思います。例えば、地方紙の寺島さんは紙からネットへ、原田さんと加藤さんはネットから紙やリアルにといった具合に、基盤にしていたメディアだけでは限界を感じ、複数のメディアを活用しています。また、成果についても、行政と冊子を出したり、掲示板から施策につながったりしています。Twiiterを使って議員が意見交換することが注目されていますが、それと同じようなことが東郷町ではずいぶん前に掲示板で起きているわけです。
東海大学で開かれたシンポジウムの報告記事のようですが、ここ最近の地域メディアの施策というとどうしてもネットばかりに目が行ってしまう点に注意を促しています。地方であればあるほどネット利用率が低くなるため、情報を広めるにはどうしても紙やリアルなどの既存メディアも使う必要がでてきます。
また、TwitterやFacebookなど新しいメディアをうまく使うこともいいですが、実は前からある手法であっても成功している事例はあるかもしれずしっかりと効果をみながらやる必要があると思います。
行政や市民団体だけでなく、普通の人々がそれぞれ情報を発信する時代、複雑で多様化するメディア環境の中で、つながりをつくり出すことに限界を感じているということが、今地域メディアの実践者にとって課題になりつつあるのです。ただ、このような分断が十分に理解されているかというと怪しいところはあります。
広告が効かない、マスメディアの影響力が低下しているといった議論も同じことが原因なので、メディアを使って何らかのコミュニケーションを行っている人なら気付いているはずですが、どうも感覚を共有できないのは、単に情報を発信しているだけで、それが必要な人に届いているのか、解決に役立っているのか確認していないからです。
ネットを中心として様々なメディアがでてきて、普通の人々が発信するようになったとしても見つけてもらえなければ無いものと同然です。発信した情報が適切な人に届くようなメディアを設計する必要がありますが、各地域に存在するポータルサイトなどは一方的に情報を垂れ流すだけで、誰に伝えたいのか、実際に伝わっているのかを全く意識していないように見えます。
それから、つながりの部分はFacebookなどソーシャルメディアの台頭で意識が変わってきている可能性もありますが、やはり「最終的に必要な人に届いているか?」という部分を意識しなければ自己満足で終わってしまいます。
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また、ガ島通信さんの記事に反応している記事も見つけました。
結論から言うと、日本人の半分くらいは
地域に興味を持っていない。
社会やコミュニティに期待していない。
現状に満足している/諦めている。
求めることは多くても与えることは少ない。
人との深い関わりを求めていない
便利、安心、無料でもいらない。
新たなことに取り組まない。
というのが僕が地域に関わって悟ったことだ。via: 地域メディアの成功例を(数の割に)あまり見ない理由:地域の情報化をかなりまじめに本気で取り組むブログ:So-net blog
これは、メディア自体というよりはユーザーとなりうる住民の意識をまとめたものだと思いますが、地域メディアが適切な情報発信やコミュニケーションをしてこなかった結果として地域から興味を失ってしまっているとしています。欲しい情報が得られない地域メディアは存在しないものとして捉えられ、地域ローカルの情報よりもテレビなどマスメディアから自動的に得られる情報が全てであり、地域に住んでいながら地元のものを消費しない傾向が進んでいると思います。
論理的な人や立場でものを語る人にはわかり難いことであったり、なんでうまくいかないんだろうと悩むところが、「多くの庶民は感情や目先の損得で動く」という事実。
地域活動や地域メディアが、地域の活性を目的にしているといいながら、「どういう状態が地域が活性しているか?」が定義されないままスタートすることもありがちで、活動による結果の満足度がまちまちになってしまう。メイン通りと裏通りに面している商店なら集客減の深刻さも違うように。
あと、地域情報を得ることによって「発見」の先に「感動」が実際あるのですが、大手ポータルでも、地域サイトやSNSでも、それを伝え切れていない。感動へつながるアプローチも工夫されていない。
via: 地域メディアの成功例を(数の割に)あまり見ない理由:地域の情報化をかなりまじめに本気で取り組むブログ:So-net blog
地域の問題は共通点もありますがそれぞれ特徴もあり、全ての問題を解決する万能なメディアやプラットフォームは存在しないと思います。痛みを共有しながら現地の声を聞く必要がありますが、全国規模で展開している大手ポータルや地域メディアではそこまで各個別の地域にコミットしないので、どうしても情報が都会や人気スポットに集まってしまいますし、本質的な問題解決につながらないと思います。
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4travelを作った津田さんが、地域メディア(ローカルプラットフォーム)に言及していました
僕らが地域系WEBサイトを作った理由
まず、僕らがタウンノートやタウンボードという地域系のWEBサイトを運営している理由ですが、それはずばり「自分たちが使いたいから」です。
もちろん、すでに自分たちのニーズを満たすサービスが存在していれば、それを使いますが、2009年当時、地域系のサービスについては見つからなかったんですよね。
結婚し子供ができて、実際の地域に根ざした生活者になって初めて気付くことも多いです。そこで足りないものを作ってしまえることがボク達WEBに関わる人間の醍醐味だと思います。
昔に比べて(特に都会の)「地域コミュニティは希薄になっている」と言われていますが、僕からしたらゼロだと思っていたところに、こんなにたくさんの施設やイベントがあるんだと、本当に驚いたわけです。
ただ、それらの情報の大半はインターネット上には載ってなく、道端の掲示板とかお母さんたちのクチコミによって流通しているようでした。
いや、正確にいえば、一部の情報はネット上にアップされているのですが、それが役所のWEBサイトだったり、どこかのブログのエントリーだったりと、分散していて、まとめて探すことができなかったのです。
地域の場合、取り扱うコンテンツが「リアル」である限り、ネタが無いということはないのです。実際はネットに上がっていないだけだったり、ネット上にあっても見つけられないだけだったりします。そういった情報を一箇所に集めるという意味ではプラットフォームサービスは役に立つと思います。
地域系のWEBサイトの4分類
このような理由で、地域系のWEBサイトを作ることになったのですが、「地域情報」といっても、お店、イベント、地元のサークル、地域のニュースなど、さまざまな情報があります。
ここで津田さんは4種類に分けてWEBサイトを説明しています
1)ローカルディレクトリ・ローカルレビュー
2)ローカルマーケットプレイス
3)ローカルニュース
4)ローカルSNS
それぞれ、これまでは紙の媒体が担っていただろう役割をWEBに置き換えた感がありますが、確かにプラットフォームでやるとしたらこういうところだろうなぁと思います。ただ、先に紹介した記事にもありましたが、こういったプラットフォームから提供される情報はどこかデータベース的というか人間味を感じないのですね。唯一レビューサイトなどの口コミは人間味を感じる一方、レビューワーごとに情報のバラつきが大きすぎて情報選択のリテラシーを求められる部分はあるかと思います。
バズワードにもなってしまっているため、誤解を与えるかもしれませんが「キュレーション」サイトのように、企業広告や口コミなどで集まった情報を地域に合った形に編集し配信できるといいのかなと思います。生活に必要な情報を探している地域内の人には、探しやすいデータベースがあればかなりの問題は解消できるかと思いますが、外部から人を集めたい場合は地域の情報をテーマ・ストーリーでまとめあげ、魅力を凝縮したコンテンツをプレゼンテーションする場が必要かと。
まとめ
やっぱり、まとまりませんでした。スミマセン。
地方のIT化の障壁として、若者の流出・高齢化が取り沙汰されると思いますが、すでにそういった傾向になっているものは仕方ありません。幸いスマートフォンが普及していくことによってネット利用率はあげられるかもしれません。
高齢者もITから置いてけぼりにするのではなくiPadなどタブレット端末を使ってもらうなど、PCよりも操作が簡単なスマートデバイスを推奨することで参加してもらうことができるかもしれません。
ネット・メディアは魔法の杖ではありませんが、少ない人数で広く情報を広めることができる可能性を持っています。時間はかかるでしょうが、情報発信ができる仲間を増やしながら続けていくしかないのかな。
続く・・・